新型コロナウイルスの用語解説してみた

COVID-19アイキャッチMemo
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こんにちは!あぽ(@apocryphally1)です。この記事を書きはじめた2020年5月1日時点では5月6日までの緊急事態宣言を1ヵ月延長するかもね、という新型コロナの影響で生活がガタガタになっている状況です。実は中の人の本業が新型コロナウイルスの研究に関わっているので、ちょこっとこの新型コロナについてまとめてみようかなぁと思います。

ニュースやワイドショーのコメンテーターがそれらしいことを話していますが、本当にそれは正しいのか?言葉の意味を理解して使っているのか?そういう人たちがテレビでもっともらしい発言をすることで世の中に変な情報が広まってしまうのは、誰も幸せにならないことだと思います。難しい細かいことは省いて、ざっくりと簡単に説明していきますのでゆるーく読んでいただけたら嬉しいです。

(5.11.に抗原イムノクロマト検査の情報を追加しました)
(5.27.に抗原ELISA検査についての情報を追加しました)

今回使用している画像はPublic Health Image Library (PHIL)に公開されているものを使用しました。

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新型コロナウイルスって?

2019年11月に中国武漢で初めて患者が確認されてから感染者が急増して町が封鎖されたり、クルーズ船が横浜で何週間も隔離されたり、なんやかんやあって日本でも緊急事態宣言が出されるなど、大変なことになっている今回の新型コロナウイルス。毎日いろいろ報道されていて(というかそればっかり)当たり前のように話されていて、いまさら聞けないなーっていうことをまとめていきますよ。
(お医者さんではないので、症状などについては間違いがあるといけないので触れていないのであしからず)

COVID-19はウイルスの名前じゃないんです

COVID-19はウイルスの名前じゃないんですよ。
いま新型コロナウイルスと言っているのはSARS-CoV-2(severe acute respiratory coronavirus 2)です。このウイルスによる感染症のことをCOVID-19と言います。「2019年に初めて患者が見つかったCorona Virus Disease」という意味です。

ウイルスには「型」がある

インフルエンザでなじみがあると思いますが、インフルエンザにも「Aソ連型」とか「A香港型」などいろいろな種類がありますよね?SARS-CoV-2にも「型」があることがわかっています。現時点では感染しているかどうか、感染した人は免疫をもっているのかどうか?という点にばかりが注目されていますが、これから先はどの「型」のウイルスがどこに広まっていたのか?とか、それぞれに効果のある薬やワクチンを作ることが大切になってきます。

実はまだこの「型」については中国やヨーロッパ、日本などで分類の仕方や名前の付け方がバラバラだったり、性質が変わっている(変異している)ものがどれだけいるのかがはっきりしていないんですねぇ。
数年後にはインフルエンザみたいに、今年は「A型の予防注射をしましょう」という感じでSARS-CoV-2の予防接種をうけることになるかもしれません。

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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査って?

SARS-CoV-2に感染しているかどうか、検査する方法はいろいろあります。まずは「陰性と陽性」について、そしてちょっと勘違いしやすい「感度と特異性」について確認します。それから検査の方法についてニュースに出てきた順番でまとめていきますよ。
検査と診断は違うのでここもまた注意が必要ですよ!

陽性と陰性

  • 「陽性」・・・感染している疑いがあること
  • 「陰性」・・・感染している疑いがないこと

偽陽性と偽陰性

  • 「偽陽性」・・・本当は感染していないのに陽性と判断してしまうこと
  • 「偽陰性」・・・本当は感染しているのに陰性と判断してしまうこと

真陽性と真陰性

  • 「真陽性」・・・検査結果が陽性で感染していると診断されること
  • 「真陰性」・・・検査結果が陰性で感染していないと診断されること

感度と特異性

  • 「感度」・・・陽性の人を陽性と判断できること
  • 「特異度」・・・陰性の人を陰性と判断できること

PCR検査

まず最初に広まったのがPCR検査です。PCR検査ではなにをしているのか、どんな原理なのかざっくり解説しますよ。ややこしいところはすっ飛ばしているのでかなり乱暴な説明です(笑)

PCRってなに?

そもそもPCR法って何かわかりますか?PCRとはポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)といいます。少ししかないDNAのサンプルの一部分をコピーして解析しやすくしましょうね、という遺伝子解析の実験の一つです。犯罪捜査とかDNA鑑定などにも使われているものです。


サンプルからDNA(遺伝子)を抽出 → 欲しい部分を切り取る → 試薬と混ぜる(コピーするための材料など) → 温めたり冷やしたりを繰り返す

そうするとほしい部分のDNAがどんどんコピーできちゃうんです。これを使うとウイルスの遺伝子の特徴的な部分を目印にして、その遺伝子がたくさん増えていれば陽性、増えていなければ陰性、という判断ができるようになります。

PCR検査でわかることと問題点

この検査では「いまウイルスが体内にあるのかどうか」を知ることができます。が、サンプルの取り方(鼻からのどの奥の方まで長い綿棒を突っ込んでぐりぐりしている、アレです)などによって測定できる量に足りなかったり、ほかのものと混ざってしまったりすると「偽陰性」という結果になってしまうことがあります。これが「PCRは感度がわるい」といわれる理由です。

プロのお医者さんでも難しいサンプル採取を、素人が自分でできるんかい?っていうので某社の宅配PCRキットがリリース直後から袋叩きにあっていましたね。これも「偽陰性」がたくさん出てしまうことが簡単に予想できるのでみんな反対したんですね。

あと、世界中でPCR検査をやりまくっているので試薬とかそろそろ足りなくなるんじゃないかなぁと考えています。機械はあっても試薬がないと検査できません。国産の試薬は少なく、そのほとんどは海外製品を輸入しています。世界中で奪い合いしているものを日本だけ安定的に輸入できるなんて都合の良い話はありません。国が検査数を絞っていたのは医療崩壊の問題と同時にこの辺がネックになっているんじゃないかなぁと予想しています。最初に使いすぎて本当に必要な時に「試薬がない!」なんてことになったら、それこそ大問題ですからねぇ。「PCRの検査数を増やせ」と批判ばかりする人はそのあたりきちんと調べてから突っ込みをいれると良いと思いますよ。

抗体検査

PCR検査に偽陰性が多いぞ、という話が広がりはじめてから「抗体検査」という言葉が浮上してきましたね。抗体検査とは感染した人が体を守るためにウイルスを攻撃する物質(抗体)を作り出します。この抗体が「あるか」「ないか」「どれだけあるか」を調べることで感染しているかどうかを判断します。ウイルスそのものを測定するPCR検査とは考え方が違います。

抗体検査で測っている抗体の種類は?

抗体検査で測定しているのは「IgM」と「IgG」という抗体を測ることが多いです。

  • IgM・・・感染した初期に出てくる抗体
  • IgG・・・感染からしばらくすると出てくる抗体→これが出ると「免疫を獲得した」状態

この2種類の抗体を測ることで、患者さんの感染の状態を確認することができます。

「IgMだけ出た」→感染したばかりなのでこの後注意しましょう
「IgMとIgGが出た」→感染真っ只中
「IgGだけ出た」→免疫を持っている状態なので、また感染しても重症にはならないですね

SARS-CoV-2のIgMとIgGがどれだけ出ていれば感染しているか、基準となる数値はまだわかっていません。そのため抗体検査は病院の診療行為には使うことができません。あくまでも「研究目的」です。診療行為で新型コロナウイルスの抗体検査をするのは今の時点ではアウトなのです。

免疫パスポート

免疫パスポートが発行して免疫を持っている人から普段通りの生活に戻っていいよ!という考え方が「免疫パスポート」なのですが、IgGをどれだけ持っていれば「免疫を持っている」ことになるのか、まだはっきりしていません。また、せっかく免疫を獲得してもそれがいつまで体内に残っているのか、これもまだはっきりしていないのでこれからの研究で基準ができるのかもしれませんし、免疫パスポートという考え方自体がなかったことになるかもしれません。

迅速簡易検出法(イムノクロマト法)

簡易キット、とか迅速キットなんて言われているのが「イムノクロマト法」の検査です。これは妊娠検査キットなどでなじみがある方も多いと思います。スティック状の検査キットの丸いくぼみのところに血清を少し入れると15-30分で結果がわかるものです。短時間で(迅速)簡単に(簡易)結果がわかるので迅速簡易検出法と言っています。特別な機械も必要がないので、短時間で安く・大量に検査することができます。
現在ニュースで「抗体検査」と言っているのは、このイムノクロマト法のことです。

抗体イムノクロマト法でわかること

イムノクロマト法で測っているのはIgMとIgGという「抗体の有り、無し」を測っています。抗体があるのかないのか、それだけを判断するものです。ただ、問題点が結構あるのでいろいろなところから突っ込みが入っている状態です。

抗体イムノクロマト法の問題点

安くて簡単なイムノクロマトキット、便利でいいねーと思ってしまいますが、問題点がかなりあります。

  • 国産のキットがない・・・生産された国の基準で感度が設定されているので、日本の現状に適していない可能性が高い
  • 供給が不安定・・・国産のキットがまだ普及していないので輸入品頼みになっているのが現状です。COVID-19の影響で航空便の数もへっており、輸入品の入荷が予定通りに到着しないこともあり供給が不安定になっています
  • 再現性が低い・・・同じサンプルを測っても結果が変わってしまう
  • PCRと結果が違うことが多い・・・PCR検査で陽性と確定したサンプルでも抗体が検出できない
  • メーカーによってデータがバラバラ・・・設定されている感度が作っているメーカーによって違うので、どれを信用してよいか誰もわからない状態

いろいろ問題があるのでイムノクロマト法の結果だけでは判断できない、というのが現状です。そのため「PCR検査と抗体検査を両方やりましょう」という話が主流になってきています。PCRも偽陰性が多い、イムノクロマト法も問題が多い、では何を信じたらよいのでしょう??

ELISA法

ELISA検査についてザックリと説明します。細かいところはバッサリすっ飛ばしていくので、なんとなーくこんなことやってるのねーと思っておいてください。PCRの説明と同じでかなり乱暴な説明です。

ELISA法ってなに?

ELISA法とは「酵素結合免疫吸着測定法(Enzyme-Linked Immuno-Sorbent Assay)」という測定方法を使う検査のことです。「エライザ検査」と聞くことが多いと思います。このELISA検査は測定結果が出るまでに2~3時間ほどかかりますが、通常1回の測定で96検体測ることができます。

特殊な容器に測定対象の抗体だけがくっつくタンパク質など(抗原)をコーティングしておいて、そこに患者さんの血清を入れます。知りたい抗体があれば容器の中にくっつくので、どれだけの量の抗体が容器にくっついているのかを測定する方法です。今回のSARS-CoV-2ではIgMとIgGをそれぞれ測定するのが一般的です。

ELISA法でわかること

ELISA法はイムノクロマト法と同じようにIgMとIgGを測定しますが「あるか、ないか」だけではなく、「どれだけあるのか」を数値として知ることができます。患者さんの症状のステージごとにELISA法で検査をすると「感染してから何日後にはIgMとIgGがどれだけ出ているか」という詳しいデータを取ることが可能になります。このデータを積み重ねることで「IgMがこれだけ出ているので感染している」「IgGがこれだけ出ているので免疫を獲得している」とお医者さんが診断できるようになります。

ELISA法の問題点

ELISA法で検査をするには専用の設備が必要になります。前処理するための装置や測定するための装置など、そこそこ高額な装置をそろえなくてはいけません。また、サンプルの処理などいくつかステップがあるので測定する人によってデータに違いが出る可能性もあります(すべて自動でやってくれる装置もあります)イムノクロマト法と比べると結果が出るまでに2~3時間かかってしまいます。抗原抗体反応を利用しているので、IgMとIgGそれぞれ別々に測定する必要があります。
上にも書きましたが、診断するための基準となる数値がまだ確定していない点も問題と言えますが、これはデータが集まれば解決する問題なので、研究が進むのを待つしかありません。

ELISA法そのものはずいぶん昔からある実験方法なので、信頼性が高い測定方法です。

抗原検査

5月13日に申請が通るということで、病院で検査を受けることができるようになります。抗原検査はどういうものか、抗体検査との違いなどを書いていきますね。今回は迅速簡易検出法のキットなので上に書いてあるイムノクロマトと同じようなものになります。これから抗原ELISAのキットも出てくると思います。

抗原イムノクロマト法とは?

抗原検査とはウイルスが持っている特定のタンパク質を調べる検査です。測定のやりかたは抗体イムノクロマト法と似ていますが、抗体イムノクロマト法は抗原に反応して作られた抗体を測定します。抗原検査は抗体に反応するタンパク質を測定しますので、抗体イムノクロマト法の反対と考えておいて大丈夫です。
抗体のイムノクロマト検査では血液から血清を取り出して測定しますが、抗原のイムノクロマト検査ではPCRと同じように鼻の奥からサンプルを採って測定します。これはインフルエンザの検査と同じですね。
サンプルを採って結果が出るまで15分くらいで終わるので医療現場ですぐに結果を得られると大変期待されています。

抗原イムノクロマト法でわかることと問題点

抗原イムノクロマト法の検査では「ウイルスがあるか、ないか」を直接測定しますので、PCRと同じく、鼻の奥からサンプルを採らなくてはいけません。採取する人によって結果が変わる可能性があるので、偽陰性がたくさん出ると予想されます。PCRより短時間で測ることができるだけで、感度は期待しない方がよいと思います。
PCR検査と抗体のイムノクロマト検査の問題点がそのまま合体していますが、今回は国産のキットが出た、というところが一番のメリットではないでしょうか。

抗原ELISA法

抗原ELISA法では抗体ELISAとの逆の反応になります。抗体を特殊な容器にコーティングして、患者さんのサンプルを入れるとサンプルの中にある抗原が抗体にくっつきます。この状態を色でわかるように試薬を加えて反応させると抗原があると発色してどれだけの量の抗原があるか調べることができます。
抗原の量=ウイルスの量なので、いまどれだけのウイルスがサンプルに入っているのか知ることができます。
サンプルは唾液でも測定できるので、サンプル採取の時に鼻の奥に綿棒を突っ込まなくてもよいです。PRCでも同様に唾液などでも検査ができるキットが開発されていますので、どちらの検査でも患者さんの負担はかなり軽くなると思います。

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まとめ

それぞれの検査についてザックリまとめると下のようになります。

  • 直接ウイルスを測定するのがPCR法・・・偽陰性など問題あり
  • 抗体があるか、ないかを測定するのがイムノクロマト法・・・安くて簡単、短時間で結果がでるが結果の信頼性に大きな疑問あり
  • 抗体がどれだけあるか数値化するのがELISA法・・・2~3時間かかる、設備が高額だけど結果の信頼性が高い
  • 直接ウイルスを測定するのが抗原イムノクロマト法・・・PCRと抗体イムノクロマト法の問題点が一緒なので、期待しすぎるのは危険

現状ではPCRとELISAを組みあわせてデータを取ることが重要だと考えられます。イムノクロマトは国産の信頼性の高いキットが出てくるまでは手を出さない方がよいと思います。今後もなにか新しい情報が出てきたら追加していきますので、たまに見に来てくださいね!
(5.11.に抗原イムノクロマト検査の情報を追加しました)
(5.27.に抗原ELISA検査の情報を追加しました)

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